長女が今春入籍するため、1月初旬の日曜、両家の顔合わせをすることになった。が、お相手のご両親が遠方から車を運転して来られることもあり、平服でということになった。が、かえってそれが難しく、夫はスラックスの上にカッターシャツとセーター、私は8年前から愛用しているワンピースを着ることにした。あれやったらええやろうと安易に考えて顔合わせの日の3日前まで試着もしなかった。
そしてその日、久しぶりに袖を通したワンピース、足を入れて服を引き上げると腰のあたりで止まる・・。一抹の不安が頭をよぎる。頭からかぶることにした。ファスナーを引き上げ・・られない。ファスナーまで手が届かない。まだ背中が半分開いたまま。洗って服が縮んだのか私の背中が広くなったのか・・。娘に頼んでファスナーを引き上げてもらい、背中は隠すことができた。が、鋳型にはめられた人形の様だ。七分袖は寸分の隙間なく、しゃれたウェストのタックは開ききっている。娘には自業自得やとあきれられた。慌てて婦人服を見に行ったが、こじゃれた服には5万円の値札。当日は鋳型にはまることにしよう。
本番当日、娘の大切な日がやってきた。約束の時間に間に合うよう余裕を持って、できるだけ美しく優雅に振舞おう。一足先にホテルに向かった娘より、お相手のご両親が高速道路で事故渋滞に巻き込まれ少し遅れると連絡が入る。「大丈夫ですよ」と返信する。夫の運転する車で明石駅のJR高架下を通過した時、ふいに忘れ物したことを思い出した。そう、手土産用に用意しておいた分大の鯛最中!Uターンして明石駅前の分大に駆け込む。今度はうちが「すみません、少し遅れます」私は久しぶりに走ることになった。鋳型にはまった身体で・・。
こうして無事に両家の顔合わせも終わり、最後に全員で記念撮影。皆、穏やかな表情で写真に収まっている中、ひときわ貫禄たっぷりの私が映っている。せめて私の身を半分、夫の後ろに隠せばよかったと思う。
「親の背中を見て育つ」というが、あわてん坊の私の血を確実に引いた娘よ!人生はなんとかなる!明るく生きよ!楽しく生きよ!若い二人の人生に幸あれ!